漁師さんにインタビュー
漁師
大岡 秀行さん
元トリマーという異色の経歴を持ち、町内では2名だけになった素潜り専門の漁師。産品販売のイベントでは魚だけでなく柑橘もどんどん販売してしまう営業マンの一面も持つ。

ユニークな経歴を経て漁師になったと伺いました まず高校卒業後、トリマーの専門学校へ行き、そのまま専門学校の非常勤講師になりました。その後、和歌山県へ戻ったのですがトリマーの職がなく、車の板金塗装や木材店で働いていました。木材店では御坊店の店長にまでなったのですが、店を閉める事になり、就職活動をしながら稼業である漁師を手伝っていて、そのまま27歳の時に漁師1本でやっていくと決めたんです。店で働いていた時は何かとストレスを感じていた事もあり、自分ひとりの力が試される漁師という職業が向いているんじゃないかと知人に後押しされたのも切っ掛けです。

素潜り漁では、どんなものが獲れるのですか? イワガキ、アワビ、ウニ(餌用。石ダイ)、ナマコ 、ワカメなど、1年間ずっと毎日潜っています。漁師を始めた15年前はアワビも多く獲れていたのですが、今は全く希少になりました。親父の時代から素潜り漁を始めたんですが、その頃から比べると10分の1迄に減少しています。

海の中を見て感じることはありますか? 海の中の景色が毎日違うことですね。海の色も違うし、泳いでるもの(自分にとっては獲物です)が全く違うんです。海が澄んでいると本当に綺麗ですよ。ただ最近はよく言われるように磯焼けの問題が危機的状態です。海藻が全くないんです。特にクロメはどこを潜っても見ることができましたが、今は皆無に。また大きな台風によって地形が大きく変化していることも実感できます。以前は大きな石の穴に魚や貝が居たんですが、今はそこに小さな石が詰まっていて、魚や貝の棲家がなくなっています。道路工事などによる泥が磯に流れ込み生態系が変わってしまっていますね。

漁場づくりに取り組んでいきたい 今はアワビやサザエの収穫量自体が少ないので販路を拡大していくといった事はできませんが、漁場の再生事業に取組んでいきたいと思っています。その為には岩場をつくるための投石が重要ではないかと考えています。例えば稚貝の放流をしても小さなものは餌になってしまうだけで大きくならない。藻場の再生についても苗を海中に入れても流されてしまうだけ。やはり岩場をしっかり再生し、由良の豊富な水産生物が生息しやすいよう、水産資源の持続的利用の確保ができるように努めていきたいと思います。

好きな由良の魚は? カンパチ!熟成させて2日目くらいが美味しいんです。自分の場合は、内臓を取って3枚におろし、サランラップにくるんで冷蔵庫に置いておくだけ。由良のカンパチは鮮度もあり、脂ものっているので、それで美味しですよ。